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(傷病中分類)全国県別分析 2011年患者調査 総患者数の急増した疾病項目


傷病基本分類に続いてやや詳細な傷病中分類の県別動向を調べます。これでかなり具体的な病気の種類を絞り込めます。また患者調査のWebサイトで提供しているデータのうち、1996年まで遡れるものとしてはこれが一番詳細な分類です。
総患者数の全国合計値について2011年の標準化スコア(1996-2008年(3年間隔)の平均値と標準偏差に基づき算出)が大きな、つまり2011年の増加が顕著であった疾病は以下のとおりです。

(傷病中分類) 2011年患者調査 全国総患者数の急増した疾病項目

標準化スコアが5以上の項目:
XIII 筋骨格系及び結合組織の疾患
  ・肩の傷害<損傷>

全国合計でこの値はとても大きいです。総患者数が279千人と比較的少ないため値が振れやすいという面もあるかもしれません。

標準化スコアが3以上の項目:
IX 循環器系の疾患
  ・高血圧性疾患

標準化スコアが2以上の項目:
IV 内分泌,栄養及び代謝疾患
  ・糖尿病
  ・その他の内分泌,栄養及び代謝疾患
VI 神経系の疾患
  ・アルツハイマー病
XIII 筋骨格系及び結合組織の疾患
  ・関節症
  ・脊椎障害(脊椎症を含む)
XIX 損傷,中毒及びその他の外因の影響
  ・頭蓋内損傷及び内臓の損傷
  ・骨折

標準化スコアが2以上の項目はいずれも標準化スコアが大きな値となった基本分類(IV、VI、IX、XIII、XIX)の内訳です。これらの疾病が当該基本分類の大きな値に寄与しているとみてよいでしょう。

以下ではこれらの疾病について広範な県で高い値が出ており、かつそれ以外の県も多くが正値であることをグラフで確認します。「頭蓋内損傷及び内臓の損傷」は総患者数が41千人(データは千人単位です)と少ないので県別の分析は難しいとみなして対象から除きます。

アルツハイマー病や骨折は東京都での増加はそれほど顕著でないためこれまでの分析では取上げていません。それ以外(肩の損傷、高血圧疾患、糖尿病、その他内分泌・栄養・代謝疾患、関節症、脊椎障害)は東京都でも顕著に増加しています。

以下、年次別の標準化スコアのグラフです。値の見方の目安として、2以上なら大きいし3以上なら異例に大きいとみてよいと思われます。もちろんそれ以前の年より値が大きいかどうかも重要です。

(備考: 90年代より2000年代の方が全国的に水準の上がっている項目や、さらに年を追って次第に上昇している傷病項目もあります。とくにその他内分泌・栄養・代謝や、アルツハイマーは顕著です。そうした従来からのトレンド要因も考慮する必要があります。そこで試算してみたところ、3年ごとに毎期一定数増加した場合は(増加の規模や元の水準に関係なく)2011年の標準化スコアが1.3、同じく毎期10%増加した場合は(元の水準に関係なく)2011年の標準化スコアが1.4、毎期20%増の場合は1.5程度です。ですから標準化スコア2や3という値は大きいとみてよいでしょう。しかしここでは保守的に値3以上のものを挙げていきます。)


糖尿病: 2011年の標準化スコアが5以上となったのは栃木、東京、沖縄。同じく3以上となったのは神奈川、富山、石川、岐阜、静岡、広島、香川で合わせて10都県です。
1996-2011年県別標準化スコア_小分類_糖尿病(Ⅳ内分泌,栄養及び代謝疾患)


その他内分泌・栄養・代謝疾患: 2011年の標準化スコアが5以上となったのは宮城、東京、岐阜。同じく3以上となったのは北海道、神奈川、長野、奈良、福岡で合わせて8都道県です。
1996-2011年県別標準化スコア_小分類_その他の内分泌,栄養及び代謝疾患


アルツハイマー病: 2011年の標準化スコアが5以上となったのは埼玉、石川、大阪、宮崎。同じく3以上となったのは青森、岩手、秋田、神奈川、富山、長野、静岡、愛知、三重、和歌山、徳島、香川、佐賀、長崎、熊本で合わせて19府県とかなり広範です。
1996-2011年県別標準化スコア_小分類_アルツハイマー病(Ⅵ神経系の疾患)


高血圧性疾患: 2011年の標準化スコアが5以上となったのは青森、埼玉、東京、岐阜、兵庫、広島、佐賀。同じく3以上となったのは石川、福井、長野、滋賀、岡山、香川、熊本、大分で合わせて15都県です。うちスコア5以上が7都県と多いのが特徴で、とくに岐阜(標準化スコア13.0)と東京(同9.9)は飛びぬけています。
1996-2011年県別標準化スコア_小分類_循環器系の疾患(Ⅸ高血圧性疾患)


関節症: 2011年の標準化スコアが5以上となったのは宮城、愛知、奈良。同じく3以上となったのは神奈川、新潟、静岡、岡山、高知、宮崎で合わせて9県です。
1996-2011年県別標準化スコア_小分類_関節症(ⅩⅢ筋骨格系及び結合組織の疾患)


脊椎障害(脊椎症を含む): 2011年の標準化スコアが5以上となったのは静岡のみ。同じく3以上となったのは宮城、東京、三重、滋賀、徳島、高知で合わせて7県です。静岡県(9.2)は飛びぬけて高い値です。
1996-2011年県別標準化スコア_小分類_脊椎障害(脊椎症を含む、ⅩⅢ筋骨格系及び結合組織の疾患)


肩の障害<損傷>: 2011年の標準化スコアが5以上となったのは宮城、東京、岡山。同じく3以上となったのは愛知で合わせて4県です。一部の県に集中して値が極端に振れている形ですが、もしかすると全体の患者数が少ない(全国で279千人)ためかもしれません。
1996-2011年県別標準化スコア_小分類_肩の傷害<損傷>(ⅩⅢ筋骨格系及び結合組織の疾患)


骨折: 2011年の標準化スコアが5以上となったのは神奈川、静岡。同じく3以上となったのは埼玉、岐阜、愛知、奈良、高知で合わせて7県です。神奈川県(10.8)は飛びぬけて高い値です。
1996-2011年県別標準化スコア_小分類_骨折(ⅩⅨ損傷,中毒及びその他の外因の影響)

全体を通してのコメントは後で書き足す予定です。


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患者調査データの分析指標


標準化スコアの特質と代替指標

これまで標準化スコアを使ってきたおもな理由の一つは、異なる疾病・地域・年次のデータを比較するためです。例えば発生率の高い病気ととても低い病気を比較する際、発生率そのものの水準を捨象して平年からの乖離度を見る。また元々年によるばらつきの大きい疾病とそうでない疾病が2011年に通常のばらつきを外れた大きな値となっていたかどうかを見ることにもなります。あるいは人口の多い県と少ない県を比較する際、患者数そのものではなく平年からの乖離度を見る、といった具合です。(もう少し厳密にいうと 患者数=人口×罹患率 と分解できるので、患者数を異なる疾病・異なる県の間で比較すると人口と罹患率の違いが両方影響してきます。)

そうした意味で標準化スコアは優れた指標であり、異例な疾病の増加を見つける上ではとても役に立ったのですが、元のデータに含まれる疾病の規模やばらつきの大きさが捨象される結果、やや抽象度が高すぎて意味をとりづらいという問題があります。

分析の内容に応じてもう少し元データの情報を多く残した指標を使うことで良い結果が得られるかも知れません。例えば患者数を人口で割った罹患率を使えば、都道府県の人口規模は捨象しつつ各種疾病の発生頻度は残すことができます。疾病間の同等な比較は難しくなりますが、同一疾病の都道府県の比較には足りそうです。


人間ドック検査項目別統計の異常頻度上昇(2011年)

(2013年3月の投稿に基づく)

『人間ドックの現況』(人間ドック学会、http://www.ningen-dock.jp/concerned/press/index.html に掲載)の人間ドック検査項目別統計は3百万人規模の大きな検診データです。毎年1月-12月の検査結果が集計されます。これだけ大きな規模のデータであれば、小さな相違や変化も高精度に検出できる可能性があります(回答状況によって年次間の連続性は完全ではないでしょうが、もしそのことによる大きな歪みがあれば、属性別の変化などからある程度チェックできるでしょう)。

2011年は、定例6項目の異常頻度に増加が目立ちます。肝機能異常が急伸、高中性脂肪は増加に転じ、高コレステロールと高血圧、耐糖能異常は加速。つまり6項目中5項目で増加が加速したり急に増えたりしているのです(グラフを参照)。肥満だけは若干減少しました。

人間ドック異常頻度2004-2011年


異常頻度の上昇が急であることを示すため、2005年以降について異常頻度の前年比変化(%ポイント)を比較すると(グラフを参照)、6項目中4項目で直近の2011年が増加幅最大です(肝機能異常、高中性脂肪、高コレステロール、高血圧)。とくに肝機能異常は顕著です。また、対照的に肥満は当該期間中の最低値です。

人間ドックにおける異常頻度の対前年比変化(%ポイント)


以下では特に増加の顕著な肝機能障害について詳細データを確認します。

まず、年齢層別に見ると(グラフ)2011年全ての年齢層で一様に急増しています。それ以前、2000年から2010年まではどの年齢層も横ばいでした。

人間ドックにおける肝機能異常頻度_年齢差と掲示変化2000-2005-2010-2011


次に2011年と前年(2010年)を比較すると(グラフ)、男女とも全ての年齢層で肝機能異常が上昇しています。年齢性別を問わない要因が想定されます。

人間ドックにおける肝機能異常頻度_性別・年齢別(前年との対比)


最後に地域別の比較です(グラフ)。2011年の肝機能異常頻度は全地域とも増加しています。地域を問わない全国的な動きであったと言うことです。しかし一方で、その増え方には地域により3倍程度の違いがあります。東北が大幅増加により全国で頻度第4位から第1位になりました。増加が少ないのは北海道、九州・沖縄、中国・四国です。その間が近畿、関東・甲信越、東海・北陸。

人間ドックにおける肝機能異常頻度の地域差(2010-2011年)


残念ながら2011年統計では前年まであった詳細地域別データ(地域毎の年別比較と性別比較、それに県別数値)が掲載されていないため、これ以上のことは分かりません。異常頻度が急増しており地域差が大きいので、とくに県別の数値を確認したいところです。2012年統計に期待します。


このブログの目的など

SNSは手軽で便利なのですが、複数の図表を並べて説明したり、長い文章を書くのにはあまり向いていません。SNSでそのように感じたらこちらのブログに書こうと思います。SNSの複数の投稿をまとめるのにも良さそうです。

またSNSは投稿したものを後から探すのもあまり使い勝手が良くありません。ブログはカレンダーで遡るのが簡単なので、重要な投稿はSNSから取り分けてブログにも投稿した方が良さそうです。

字は大きめにするつもりです。その方が見やすいので。


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